赤煉瓦倶楽部舞鶴

産経新聞提供(平成3年12月26日付)

赤煉瓦博物館転用計画の旧海軍の「魚形水雷庫」
舞鶴市が文化財に指定 京大調査で貴重な価値


 舞鶴市が赤煉瓦博物館に転用を計画している同市浜の旧海軍が建てたれんが倉庫「旧舞鶴海軍兵器廠魚形水雷庫」が、京都大学の調査の結果、貴重な文化財としての価値があることが分かり、同市教育委員会は25日、市の文化財に指定した。近代建築の指定では、第1号。今後、府または国の文化財として指定されることも考えられる。
 フランス積みという工法でれんがを積み上げたこの倉庫は、2階建て延べ844.5平方メートル。平成5年5月に博物館としてオープンさせるため、来年5月から改装工事にかかる舞鶴市が、京都大学工学部金多研究室(金多潔教授)に詳細な調査を依頼していた。
 金多研究室は建物を詳しく調べるとともに、防衛庁防衛研究所に保管されている旧海軍関係の公文書も併せて調査。その結果、当時の最新兵器であった魚形水雷の保管庫として、舞鶴に海軍鎮守府が開かれた翌年の明治35年10月10日に着工、36年7月末に完成したことが分かった。
 特に国内最古の本格的な鉄骨建造物であり、当時としては国内最高の技術者がかかわっていたことが考えられるなど、貴重な文化遺産ということが分かった。
 構造的には@本格的な鉄骨構造物としては、国内に現存する最古の建築のひとつA鉄骨は当時、アメリカの製鉄王といわれたカーネギー社の製品B圧延型鋼とリベットを使った建物としてはわが国で最も古く、当時の日本の建築レベルから見ると、はるかに高かったーなどが分かり、日本ではトップクラスの建築家と技術者がかかわっていたことが考えられるという。今は鉄板になっているが、屋根は、石の薄い板を用いた天然スレートだったらしい。
 こうしたことから、現地調査を担当した同研究室の西沢英和助手は「海軍の直轄工事として建設されており、初代舞鶴鎮守府長官、東郷平八郎中将が深くかかわっていたことが推測される。文化財としての価値はあると思う」と話していた。
 フランス積みは日本では数が少ないが、舞鶴市内では海軍工廠(しょう)だった日立造船舞鶴工場に、まだ8棟残っている。
 市教委は市文化財保護委員会(梅田作次郎委員長)に、指定について諮問していたが、このほど「舞鶴市の近代史上に大きな位置を占めた舞鶴海軍鎮守府初期の代表的な建築物。明治期の本格的な鉄骨構造建築物として、建築史の面からも価値が高い」として指定が妥当との答申を得た。
(新聞掲載の写真ではありません)
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