舞鶴市が化石の宝庫であることをご存知ですか。今回、環境省自然公園指導員で、本市文化財保護委員の荒木邦雄さんに、ビカリア化石についてご紹介いただきました。
 舞鶴産ビカリア化石
 舞鶴市が世界に誇れるものの一つにビカリア化石がある。ビカリアカローサジャポニカ(Vicaryacallosa japonica)と呼ばれる新生代第三紀(約1500万年前)の示準化石です。

 昭和49年8月、京都府舞鶴市笹部地区に造成中のゴルフ場より、素晴らしい巻貝の化石が大量に発掘されました。この標本は、昭和51年9月26日に採集したものですが、外唇部の完全な、しかも、蓋までついている完全品を発掘、続いて最も大きな完全品2個体を採集したことは、日本の地学会史上、まれにみる発見でした。
ビカリアの出土した地層(舞鶴カントリークラブ9番ホール付近)と採集風景
世界に地学誌に紹介されたビカリア 世界でただ一つ 蓋付ビカリア
(当時の国立博物館報をそのまま引用すると)
 日本の第三紀巻貝化石の代表といえば、まずビカリアが思い出される。殻長10cm近くにもなる細長い大型種で、各ら層には三角形のいぼ状の突起が一列にならんでいる。ウミニナ科に属するが、今の日本にはこんな大きなウミニナはすんでおらず、キバウミニナとかセンニンガイといった大型種は南方に行かなければ見られない。ビカリアは第三紀中新世の標準化石として有名であるが、第三紀始新世には既に出現していて、アジア南部から日本まで住んでいたことが確認されている。
 しかし何といっても大繁栄したのは中新世になってからで、当時、東南アジアから日本にかけて広く分布していた。中新世における東南アジアのビカリアは、日本のものと大変よく似ており、例えば、日本の中新世から出るとげの発達した種類は、ジャワ島から出るVicarya callosa にそっくりである。しかし、ジャワのもののいぼ断面が二等辺三角形なのに対し、日本のものは上面は平らで下だけが傾斜しているという違いがある。このため、日本のものはジャワの種callosaの亜種とし、Vicarya callosa japonica Yabe et Hatai と名づけられた。また、インドから出たV.verneuili に似たものが日本にもおり、これは上記の種に近縁の別種V.yokoyamai Takeyama とされている。
 日本におけるビカリアの産地は、北は北海道南西部におよび、callosa japonicaは、種子島、中国地方各地、能登、津軽、北海道奥尻島などから産し、yokoyamaiは三重、滋賀、岐阜県下、北陸、常磐にみられ、もう一つの別種yatuoensis Yabe et Hatai が北陸、佐渡、常磐、岩手県下に産する。(中略)
 昨年11月舞鶴で発見されたVicarya callosa japonica の標本が本館に寄贈された。(中略) このビカリアは、きわめて保存がよく、殻の表面の細いら条や彫刻がそのまま残っていて、おそらく今まで日本でみつかったビカリアの中で最も美しい標本であろう。細長くて小型の個体が多いが、には10cmをこすような大きな個体もある。(以下略)
 このように国立博物館藤山博士によって報告されたビカリア化石は、この後、名古屋大学の小澤博士によって世界の地学会誌にAraki Coll(コレクションの略)として発表され、世界で最も美しいビカリア化石として認定されました。

 舞鶴地区にはこのほか、古生代、中生代、新生代の三世代の化石層(日本では舞鶴だけ)を見ることができ、各地の大学より、学生や研究者が訪れています。また、この化石層群は、多くの科学者達を育てています。
 中生代、古生代では、京大名誉教授 中澤圭二博士を、新生代では、東大名誉教授 堀越増興博士、名古屋大名誉教授 糸魚川淳二博士、恐竜博士として知られている福井県立博物館の東洋一博士など、この方々は、舞鶴の化石で学位を取得されている、世界でも有名な化石の権威です。
 現在、ビカリアを含む荒木コレクションは、舞鶴市郷土資料館に展示されています。

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