赤煉瓦倶楽部・舞鶴

水野信太郎の赤煉瓦こばなしVol.19
シリーズ「煉瓦と乗り物」
No.3 宇宙旅行か、はたまた飛行船で散歩か? 

 前回、空を飛ぶための乗り物と煉瓦では、どう考えても繋がりが思い浮かばないと申しました。ところが勉強は続けてみるもので北海道の地に両者を結び付ける品がありました。
 実は私、今春(1999年3月27日)金沢を離れまして、北海道江別市へ転居(翌28日)いたしました。江別市は札幌の東側に接する隣町ですが、北海道内で煉瓦製造を続ける唯一の都市であり、歴史的な煉瓦造建築物をも積極的に残すまちづくりを進めています。その江別が「江別市陶芸の里セラミックアートセンター」という焼き物と煉瓦の博物館を設置しました。この施設に、”空飛ぶ煉瓦”が展示されているのです。
 実は宇宙ロケットの外装に用いられている特殊で軽量な、煉瓦ならぬタイルなのです。有名なスペース・シャトル用の耐熱タイルです。このタイルはアメリカ合衆国から借りている実物で、スペース・シャトルにそのまま使用することが出来るスペア−の品です。このタイル拝借に際しては、北海道余市(よいち)出身の宇宙飛行士・毛利衛さんにも協力をお願いしたと聞きました。江別は毛利さんにとって第2の故郷とのことでした。
 大気圏への再突入時に空気と機体の摩擦熱で高温状態を招くのですが、このシャトル・サーマル・タイルはタイル表面の熱を機体側まで伝えないという素晴らしい性能を持ちます。煉瓦と同じく焼き物ですが、比重が0.2と信じられないほど小さいため、空を飛ぶのは好都合です。つまりとても軽く、タイル自身が水に浮いてしまう材料なのです。
 北海道の話ばかりでは、おもしろくありません。地元、舞鶴からも空と煉瓦を結び付ける資料が発見されました。それは市内在住の中清氏が、池内川の”五老の滝”付近で採取した煉瓦です。平(ひら)面に、飛行船とおぼしき図が刻まれています。しかも、その魚雷型の気球には”SHIP”と読みたくなるようなアルファベットまでが書かれているのです。
 発見現場は、かって銅山があった場所の下流に位置する地点で、おそらく鉱山で使用するために製造された煉瓦の一部ではないかと考えられます。
SHIP拓本

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