赤煉瓦倶楽部・舞鶴

水野信太郎の赤煉瓦こばなしVol.18
シリーズ「煉瓦と乗り物」
No.2 自動車文化と赤煉瓦

 前回、第1回目の「煉瓦と乗り物」で船の話しをしましたので、今回は飛行機の話題をしたいと思いましたが、軽くて丈夫でなければならない航空機と重くて割れやすい煉瓦とでは、どうも接点を見つけにくいので別の乗り物のお話しをしたいと思います。
 人類が発明(?)した数々の乗り物のうち、歴史の古いものは馬か船でしょう。けれども馬は生物で、人間がつくった人工的なものではありません。野生の生き物を調教して、小さかった背丈を大きくしただけです。やはり馬は生き物で、機械や装置ではありません。ですから最も早く発明された乗り物は、船ということになります。もっとも船の原型にしても、何本かの丸太を弦(つる)で縛った筏(いかだ)のようなものだったと考えられますが。
 動物を除くと地上の乗り物には“くるま”があります。地上での物資の運搬も最初は船に似たソリのような道具でした。滑らせる面に油を塗ることもしたでしょう。やがて下にコロを挟んで転がすと、嘘のように楽なことを覚えました。滑り摩擦と転がり摩擦カでは、転がす方が小さなカですむのです。次がコロから車輪への、無限軌道的な大発明です。
 機械的な自動車第1号は、フランス人エコラス・J・キュニョーの水蒸気のカによる自動車でした。蒸気機関車(SL)ならぬ、蒸気自動車です。それ以前は馬車が一般的で、ヨットのように帆をつけた車が考えられたこともありました。さて自動車と煉瓦の出会いは、自動車が発明された最初からありました。キュニョ−の自動車はハンドルとブレーキが不完全であったため、煉瓦の塀に激突して壊れてしまいます。1769年のことでした。
 1886年に世界最初のガソリン・エンジンを載せた3輪自動車がドイツ人カール・ベンツによって発明されます。その前の年にはゴットリープ・ダイムラーがガソリン・エンジンのオートバイを発明し、1886年に4輪の自動車をつくりました。微笑ましい事に、自動車発明者の妻が最初のドライバーでした。まだ舗装されていない悪路を、夫に内緒で朝早くから子供達を乗せて実家まで往復したのです。現代のヨーロッパでは真っ赤なスポーツ・カーが、煉瓦を敷き浩めた道路を颯爽と走り抜ける姿を目にすることが出来ます。
 自動車販売促進用のポスター撮影に、煉瓦のある風景が採用されることも少なくありません。
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