赤煉瓦倶楽部・舞鶴

水野信太郎の赤煉瓦こばなしVOL.13
シリーズ「煉瓦と童話」
1、日本家屋は怠け者の家か?! 

 童話と申しましても、わが国には煉瓦が登場する童話や昔話が見当たりません。それもその筈、平安時代から江戸時代まで日本には煉瓦がなかったのですから。そうしますと、ここで取りあげる童話は外国の話ということになります。そこで最初に選んだのは、「煉瓦の家」ですぐに連想される『三匹の子豚』です。コブタは子ブタであって、小ブタではないように思います。彼ら三匹は母親から独立したての、まだ子供の豚だからです。子ブタの“コ”の字には“仔”の字もありますネ。この逆に、新美南吉先生の有名な『ごんぎつね』は子ぎつねではなく、小ぎつねなのです。それは成長しても小柄な狐という意味のようです。
 三匹の子豚は、長男が藁の家、次男が小枝(原作によりましては柴ですとか木)で出来た家、そして末の弟だけが煉瓦を積んだ丈夫な家を造るというお話です。藁と小枝の家は簡単に出来ますが、煉瓦の家は完成するまでに時間もかかりますし努力もしなければなりません。けれども煉瓦の家は一度きちんと造りさえすれば、オオカミも怖くありませんし、台風にも火事にも安心なのです。その価値観からいいますと日本人はずっと長男ぶたや次男ぶたのような怠け者がつくった木の家に暮らしてきたことになってしまいます。三匹の子豚のお話はイギリスの童話なので、赤煉瓦に最も信頼をおいたのは頷けましょう。 
 ところがこの童話、子供向けの話にしては強烈な結末を迎えます。煉瓦の家の煙突から押しいった狼ではありましたが、暖炉で待ち構えていた熱湯の入った鍋で茹であげられ、そのうえ子豚(原作により三匹の場合もありますし、兄たち二匹は狼に呑み込まれたため三男だけの場合も)に食べられてしまうのです。絵本によっては狼を火傷させるだけで終わっているものも少なくありません。この過激なエンディングを見ますと、私などは、もう既にコブタは子供豚ではなく大人の豚になったのかなあと思ってしまいます。いいえ、それよりももっと強いイノシシなのかも知れません。

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