赤煉瓦倶楽部・舞鶴

水野信太郎の赤煉瓦こばなしVol.9
シリーズ「煉瓦と類似品」
1.煉瓦とタイル


 この煉瓦小咄も、はや3年目を迎えることとなりました。新しいテーマをお届けします。本年は昨年の文学的な内容とは異なり、極めて身近な建築材料の話題です。タイル、屋根瓦、ブロックなどをまな板の上にのせて料理しようという魂胆なのです。その名もシリーズ「煉瓦と類似品」。初回はトップバッターとして、タイルに登場してもらいましょう。
 わたくしが勝手に考えているだけなのですが、タイルには大きく分けて2つの流れがあると思われます。白い色のタイルと煉瓦色のタイルです。これらの2種類のタイル達は、建物の室内側に貼られるものと、外側に用いられて風雪に耐えるタイルの系統にあたります。すなわち内装タイルと外装タイルです。
 そして更に、仮説(?)はどんどん膨らみます。清潔感を強調する白っぽい内装タイルは東アジアやヨ−ロッパで誕生・発達したのですが、外装用の煉瓦タイルは地震国:日本で発明・実用化されたのではないのかと。と申しますのは、大正12年9月1日の正午直前に発生した関東大震災によって多くの煉瓦建築が倒壊します。それ以後、純粋煉瓦造が建設されることはほとんどなく、鉄筋コンクリート構造の時代になります。
 ところが昭和初頭の日本人には、公共的な西洋建築はやっぱり外側に赤煉瓦が見えなくては気持ちが悪いという感覚があったのです。そこで鉄筋コンクリート建築の外側に、わざわざ煉瓦を表層分だけ積み上げたりしました。けれども、それならば厚みのある煉瓦でなく、薄い仕上材料でも充分な訳です。つまり煉瓦タイルなのです。
 このような次第で煉瓦もどきのタイルは、地震多発国特有の事情が発達させたものと考えられます。やがて外装タイルは上薬をかけて水をはじくように工夫され、色調もカラフルになったのではないのかと思うのです。
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