カタルーニャには伝統的な工法としてカタルーニャ・ヴォールトというのがある。これは速乾性のモルタルを利用して、薄いれんが(ラジョーラ)を型枠なしで次々と接着して階段や、ヴォールトを築いていくというもので、荷重を面として受け伝えるという意味からは、現代の大空間を築くときに使われる膜構造と酷似している。ガウディはこの伝統工法を発展させて使っている。あの一見不思議で、不合理にすら見えるかたちも実はこのカタルーニャ・ヴォールトの変形で、最少の材料で最大の効果をあげるということを追求している。
ラジョーラを使ったカタルーニャ・ヴォールトの屋根

スペイン・カタルーニャ地方の一般的なれんがの呼び名
呼び名(カタルーニヤ語) サイズ(mm) 使用箇所
Totxo(トチョ) 290×140×50
Maó(マオ) 290×140×40
Mitjà(ミッチヤ) 290×140×30
Rajola(ラジョーラ) 290×140×20 屋根
Carquinyoli(カルキニョーリ) 290× 50×50 見切り
Tova(トーバ) 200×200×20
250×250×20
300×300×25
350×350×30
400×400×40

(Franco Moreno G.著、El ladrillo en la construcción、Barcelona、1981年より)

■製造工程による分類

瓦れんが(ラドリージョス・デ・テハール、Ladrillos da Tejar)
手製のもので、こねた土を地面に置いた型に入れて成形。表面は皺があり蟻地獄と呼ばれる開放式のタイプの窯で焼かれる。

マッスのれんが(ラドリージョス・デ・マサ、Ladrillos de Masa)
手製。表面が平らなところで型どりされ、窯は恒久的なものが使われる。

機械れんが(ラドリージョス・メカニカス、Ladrillos Mecanicos)
セラミコスとも呼ばれ、機械で型に入れられ、機械で切られる。また、窯は恒久的なもの。

圧縮れんが(ラドリージョス・プッレンサードス、Ladrillos Prensados)
表面は極めて滑らかで、圧縮機が使われ土が圧縮され、恒久的な窯で焼かれる。

■焼成からの分類

聖人れんが(ラドリージョス・サントス、Ladrillos Santos)
過度の焼成でガラス質になり、変形を生じ、色が青くなったもの。

磨きれんが(ラドリージョス・エスカフィラードス、Ladrillos Escafilados)
過度の焼成で、ガラス質になりかかっているもので、変形をしている。

焼きすぎのれんが(ラドリージョス・レコーチョス、Ladrillos Recochos)
焼成温度が予定されたものが選られ、強度も得られたもの。

色付きれんが(ラドリージョス・ピントーネス、Ladrillos Pintones)
焼成時に温度が一定せず白けたり、赤みがかったしみができている。
赤いしみだけの場合はそれでも充分焼成温度に達したと考えられる。


白けれんが(ラドリージョス・パルドス、Ladrillos Pardos)
一点に集中的に熱を受けたもので、白っぼい色。

門番れんが(ラドリージョス・ポルテーロス、Ladrillos Porteros)
熱源から遠いところに置かれていたために、焼かれずに、乾いてしまったもの。

■かたちによる分類

マッスのれんが(ラドリージョス・マシーソス、Ladrillos Macizos)
コンパクトな矩形でその寸法は地方によって異なる。軽量化あるいはモルタルなどを詰め補強するために中央に2つの穴が開けられている。

パネルれんが(ラドリージョス・デ・パネル、Ladrillos de Panel)
前掲のものと同形だが、軽量化のために長手方向に穴が開けられている

有孔むくれんが(ラドリージョス・マシソス・ペルフォラード、Ladrillos Macizos Perforados)
どちらかの方向に穴が開けられ、この穴が5%以上、33%以下を占めるもの。

穴あきれんが(ラドリージョス・ウエコス、Ladrillos Huecos)
一方向に穴が開けられこれが33%以上のもの。

雛形れんが(ラドリージョス・アプランティジャードス、LadrilIos Aplantillados)
辺の長さが違うもので、アーチなどに使う。

穴埋めれんが(ラドリージョス・トラウエコス、Ladrillos Trahuecos)
長手が短いもので、見切りなどに使う。 

縁れんが(ラドリージョス・ボルドス、Ladrillos Bordos)
手は同じだが、平、小口の奥行きが深いものでコーニスなどに使う。

ラジョーラスれんが(ラドリージョス・ラシージャス、Ladrillos Rasillas)
普通の寸法よりいずれも短く、焼成が充分されて機械切り(Ladrillos Mecanicos)であるもの。

板状れんが(ラドリージョス・プラケータス、Ladrillos Plaquetas)
2〜3cmの厚さでファサードに使われ、有孔れんが(Ladrillos Huecos)の穴を塞ぐもの。

特殊れんが(ラドリージョス・エスぺシアーレス、Ladrillos Especiales)
形、大きさかられんがと呼ばれるが、特珠な製造上のプロセスを経ているもの。

耐火れんが(ラドリージョス・レフレクタリオス、Ladrillos Refrectarios)
1580度に耐えられるれんが。

軽量れんが(ラドリージョス・アリヘラードス、Ladrillos Aligerados)
おが屑、コルクなどを粘土に混ぜて焼き、焼きあがりにこれらが燃えてしまって荒いテクスチヤーの軽いものができる。

浮きれんが(ラドリージョス・フロタンテス、Ladrillos Flotantes)
水より軽いもの。

耐水れんが(ラドリージョス・ヒドラウリコス、Ladrillos Hidraulicos)
BleimingerあるいはHasselmanの調合によるもので、湿度に強い。

着色れんが(ラドリージョス・コロレアードス、Ladrillos Coloreados)
鉄分を除くことによって粘土を赤くせず、粘土に着色する。